○障害を理由とする差別の解消の推進に関する勝浦市教育委員会職員対応要領

平成28年10月3日

教育委員会告示第6号

(目的)

第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、教育委員会に属する又は教育委員会の管理監督下にある全ての職員(非常勤職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第2条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害をいう。以下この対応要領において同じ。)を理由として、障害者(障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下この対応要領において同じ。)でない者と比べて不当な差別的取扱い(障害を理由として正当な理由なく財・サービスや各種機会の提供を拒否、場所・時間帯などを制限、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなど)をすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。なお、別紙中「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)

(合理的配慮の提供)

第3条 職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。以下この対応要領において同じ。)の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。これに当たり、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。

(所属長等管理監督者の責務)

第4条 職員のうち、所属長等管理監督者は、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項に留意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう注意し、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう環境の整備を図らなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 所属長等管理監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(懲戒処分等)

第5条 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、若しくは、合理的配慮の不提供をした場合、その具体的態様(状態・様子・内容)等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分その他の措置に付されることがある。

(相談体制の整備)

第6条 教育委員会において、職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するための相談受付窓口は学校教育課とする。

2 学校教育課が相談を受け付ける場合は、相談者との意思疎通が行えるよう配慮に努め、相談者の思いを傾聴する。また、必要に応じ、適切な対応機関の案内をする。

3 相談を行おうとする者は、手紙、電話、FAX、メール、直接の訪問など任意の方法を用いて、相談を行うことができることとする。

4 相談の記録は、学校教育課に集約し、勝浦市個人情報保護条例(平成16年勝浦市条例第4号)に従って、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。

5 学校教育課は、必要に応じ、相談体制の充実を図るよう努めるものとする。

(研修・啓発)

第7条 教育長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。

2 教育長は、新たに職員となった者に対し、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるため、また、新たに所属長等管理監督者となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるため、研修を実施するよう努めることとする。

3 教育長は、職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、意識の向上を図るものとする。

この告示は、平成28年10月3日から施行する。

(平成31年1月8日教委告示第3号)

この告示は、平成31年4月1日から施行する。

別紙 障害を理由とする差別の解消の推進に関する勝浦市教育委員会職員対応要領に係る留意事項

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。なお、障害者の家族や支援者に対する不当な差別的取扱いが障害者本人の権利利益に不利益を与えることがあり得ることに留意すること。

ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者やその家族、支援者等に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。教育委員会においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者やその家族、支援者等にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。併せて、文部科学省作成の同省職員を対象とする職員対応要領(平成27年文部科学省訓令第31号。以下、「文部科学省対応要領」という。)及び「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成27年文部科学省告示第180号。以下、「文部科学省指針」という。)も参考にすることが望ましい。

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

○障害があることを理由に窓口対応を拒否する。

○障害があることを理由に対応の順序を後回しにする。

○障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

○障害があることを理由に説明会、シンポジウム、研修会等への出席を拒む。

○障害があることを理由に施設への入室を拒否したり、条件を付ける。

○事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁・来校の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

○障害があることを理由に本人の発言を軽視したり、無視したりする。

○成人に対して子ども扱いするなど、障害があることを理由に年齢にふさわしくない対応をする。

○障害があることのみを理由に学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付す。

○試験等において障害に関しての合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差をつけたりする。

(不当な差別的取扱いに当たらない具体例)

○学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者である利用者に障害の状況等を確認する。

○障害のある幼児、児童及び生徒のため、特別支援学級において、また、通級による指導を実施する場合において、特別の教育課程を編成する。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号。以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者やその家族、支援者等から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。なお、障害者の家族や支援者に対し合理的配慮を提供しないことが、障害者本人の権利利益に不利益を与えることがあり得ることに留意すること。

合理的配慮は、教育委員会の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置(それに見合う他の方法等)の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながることとなり得る。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 教育委員会がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者やその家族、支援者等にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。

○事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か)

○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

○費用・負担の程度

第6 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。

なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意し、障害者の特性に配慮する必要がある。なお、障害者への配慮は千葉県が作成した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」、文部科学省対応要領及び文部科学省指針を参考とすることが望ましい。

(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮や人的支援の配慮の具体例)

○段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。

○配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。

○障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

○研修会等を開催する場合には、移動距離が少ないところの部屋を利用する。障害者の意向を確認した上で可能な限り移動と受講・閲覧がしやすい席を案内する。

○疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。

○不随意(本人の意によらない)運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。

○事務所等が2階にある等、障害者が窓口に行くことが困難な場合は、職員が1階で受付対応をしたり、事務所等への移動の補助をする。

○庁舎や施設内に多目的トイレ等が設置されている場合は、必要に応じて案内する。

○災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。

○移動に困難のある児童生徒のために、参加する授業で使用する教室をアクセスしやすい場所に変更したり、送迎する保護者等の駐車場を確保したりする。

○聴覚過敏の児童生徒等のために教室の机・椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒等のために黒板周りの掲示物等の情報量を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を変更する。

○目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、介助する位置(前後・左右・距離等)について、障害者の希望を聞いたりする。

○介助等を行う保護者、支援員等の教室への入室、授業でのパソコン入力支援、移動支援、待合室での待機を許可する。

(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例)

○筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、指点字、拡大コピー、拡大文字、手書き文字(手のひらに文字を書いて伝える方法)、トーキングエイドなどの障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる手段を可能な範囲で用意して説明をするなどの意思疎通の配慮を行う。

○会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なりうることに留意して使用する。

○会議等の場面では、発言者が変わる度に発言者の名前を告げてから話し始める。

○会議等においては、通訳を介することにより時差が生まれるので、相手に通じたことを確認してから進行する。特に質問の有無の問いかけ、多数決の場面は、タイムラグがあることを考慮する。

○視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

○聴覚障害者に説明をするときは、口が見えるようにして話し、視覚的な補助を行ったり、並行して動作を取り入れる。

○意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。

○盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障害のある者)の必要に応じて、その者のコミュニケーション方法(指点字、触手話等)及び通訳により、情報提供や移動を支援する。

○駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。

○書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

○比喩表現(たとえによる表現)等が苦手な障害者に対し、比喩(たとえ)や暗喩(たとえるものとたとえられるものをそれとなく示すこと)、二重否定表現などを用いずに説明する。

○説明をする際には、短くわかりやすい言葉で、口頭に加え手順書で行うなど、複数の方法で実施する。

○障害者から申し出があった際に、2つ以上のことを同時に説明することは避け、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記したり、時計盤を使用して伝達するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。さらに、伝える内容の要点を紙等に書いて伝達したり、書面を示す場合には、ルビを付与した文字を用いたり、極力ひらがなを用いたり、分かち書き(文を書くとき、語と語の間に空白を置く書き方)を行ったりする。

○パニック状態になったときは、刺激しないように、また危険がないように配慮し、周りの人にも理解を求めながら、落ち着くまでしばらく見守る。また、パニック状態の障害者へ落ち着ける場所を提供する。なお、提供にあたっては、可能な限り本人の意思を尊重した配慮を行う。

○意思疎通が難しい障害者に対し情報を伝えるときは、抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉を使う。また、本人が頷いていたとしても、口頭のみならずメモを渡し、伝達事項を確認する。

○会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。

○会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

○順番を待つことが苦手な障害者に対し、順番を教えてあとどのくらい待つのか見通しを示したり、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。

○立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

○スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、本人の意向を聞いたうえで、スクリーン等に近い席を確保する。

○車両乗降場所や駐車場を施設出入口に近い場所へ変更する。

○敷地内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

○他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意(本人の意によらない)の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室等のスペースを準備する。

○非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

○説明会や会議等において、定期的な休憩を入れたり、個別に説明をする時間を設ける。休憩の際には、場所の確保等について障害特性に応じた必要な配慮を行う。

○移動に困難のある障害者を早めに入場させ席に誘導したり、車椅子を使用する障害者の希望に応じて、決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにしたりする。

○自筆が必要でない書類の作成にあたり、職員や教員等が代筆を行う。

○入学試験等において、本人・保護者の希望、障害の状況等を踏まえ、別室での受験、大文字による試験問題の提供を行う。

○点字や拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒等のために、授業で使用する教科書を点訳又は拡大したものやテキストデータを渡す。

○聞こえにくさのある児童生徒等に対し、ヒアリング授業の際に、音質・音量を調整する。

○肢体不自由のある児童生徒等に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたり、スポーツ用車椅子の使用を許可したりする。

○日常的に医療ケアを要する児童生徒等に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度には個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等との連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

○慢性的な病気等のために他の児童生徒等と同じような運動ができない児童生徒等に対し、運動量を軽減したり、代替できる運動を用意したりするなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。

○治療等のため学習できない期間が生じる児童生徒等に対し、学習機会を確保する方法を工夫する。

○読み・書き等に困難のある児童生徒等のために、授業でのタブレット端末等のICT機器使用を許可する。

○発達障害等のある児童生徒のため、次のような対応を行う。

・人前での発表が困難な場合、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行ったりする。

・適切な対人関係の形成に困難がある場合、能動的な学習活動においてグループを編成する時には、事前に伝えたり、状況に応じて、本人の意向を確認したりする。

・こだわりのある児童生徒等には、話し合いや発表などの場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保したり個別に対応したりする。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する勝浦市教育委員会職員対応要領

平成28年10月3日 教育委員会告示第6号

(平成31年4月1日施行)