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伝統・歴史・文化
古くから漁業で栄えた歴史ある街
いにしえの時より漁業が盛んな港町・勝浦。かつては桂浦、葛浦、勝占とも表記されていました。この地名は、紀伊勝浦、土佐桂との関係からという説や、房総半島開拓の祖「勝占の忌部(いんべ)」の名に由来、また天然の良港であること、すなわち「勝れた浦」に由来するなど諸説があります。
戦国時代、房総半島南部を治めた里見氏の武将・正木時忠が現在の八幡岬公園にあった勝浦城へ入城、地域一帯を領有しました。中世末頃からは、遠隔地交易の中継地として発展。正木氏三代・頼忠の娘は、のちに徳川家康の側室となるお万の方で、勝浦城が落城した際、40mもの断崖に白い布を垂らして海に降りて逃れたという「お万の布ざらし」伝説が残されています。江戸時代になると、妙覚寺に仙台藩取締り所がおかれ、江戸と東北を結ぶ重要な港として繁栄。
時を経て、昭和30年(1955)に勝浦町・興津(おきつ)町・上野村・総野(ふさの)村が合併し「勝浦町」が発足、昭和33年(1958)に「勝浦市」となりました。市内には、往時の歴史を物語る史跡や寺社が数多く残されています。
勝浦駅からのんびり
歴史を感じるおさんぽ半日コース
勝浦の歴史にふれることができる寺社や史跡を、勝浦駅を起点に半日でまわれるプランをご提案。散策途中には絶景スポットもあり、短い時間で勝浦のいいところを満喫できます。
SPOT1
高照寺
樹齢1000年を超えるとされる「イチョウの寺」
文明12年(1480)創建の古刹で、朝市発祥の地にあり、古くより地元の人々から信仰を集めています。境内には枝や幹の一部から根が垂れ下がる乳柱が数多く発生した「乳公孫樹(ちちいちょう)」と称される県指定天然記念物のイチョウの木が。寺伝によると、乳の出が悪い女性の悩みを、聖僧が法華経読誦により解消したことから、聖僧の死後、その徳を偲んでイチョウの木を植えたところ、多数の乳柱が発生。以後、同じ悩みを抱える女性が参拝したといわれています。現在は、多くの方が子授けや安産を願い参拝に訪れます。
場所 勝浦市勝浦49
交通 JR勝浦駅から徒歩15分
徒歩3分
SPOT2
覚翁寺(かくおうじ)
勝浦城を築城した植村家の菩提寺
代々徳川家に仕え、勝浦藩主であった植村家の菩提寺。寛永11年(1634)、二代目城主である植村泰勝の死後、城内にあった浄林寺を現在の地に移し、泰勝の幼名・覚翁丸から「出水山覚翁寺」と名付けられたといわれています。境内には、植村氏三代泰朝、四代忠朝、五代正朝の墓・宝筺印塔(ほうきょいんとう、市指定文化財)があります。
場所 勝浦市出水1297
交通 JR勝浦駅から徒歩15分
徒歩5分
SPOT3
遠見岬(とみさき)神社
天冨命をまつる郷社
阿波忌部氏を率いて四国から関東に渡り、関東全域の発展に寄与した天冨命(あめのとみのみこと)を祀る、勝浦市最古の神社です。創建した勝占忌部の名は、勝浦の地名の由来になったと伝わります。江戸時代までは冨大明神と称し、八幡岬突端の冨貴島にあったとされますが、慶長6年(1601)の津波で流され、宮ノ谷に再建、万治2年(1659)に現在の場所に遷座されました。高台にあり、朱塗りの灯籠には毎晩明かりが灯され、境内へ向かう階段からは勝浦の海と市街を望む眺望も楽しめます。また、勝浦を代表する魚をモチーフにした「勝男(かつお)みくじ」、「金女(きんめ)みくじ」も人気です。
場所 勝浦市浜勝浦1
交通 JR勝浦駅から徒歩10分
徒歩8分
SPOT4
勝浦漁港
全国有数の水揚げ量を誇る
江戸時代から商漁船が出入りをしていた歴史ある港。カツオやマグロ、イセエビなどさまざまな魚類が水揚げされる、日本でもトップレベルの漁港です。周辺の海岸線は岩礁、砂浜などがあり、風光明媚な風景とのどかな港町の風情を感じることができます。
場所 勝浦市浜勝浦370
交通 JR勝浦駅から徒歩15分
徒歩15分
SPOT5
勝浦城址(八幡岬公園)
三方に海を望む断崖の城跡
八幡岬の先端にあり、現在は八幡岬公園として整備。築城時期は定かではありませんが、正木時忠からと考えられています。四代に渡り正木氏が城主をつとめますが、天正18年(1590年)の小田原城落城により関東が徳川家康の支配下に置かれると、植村泰忠に接収。現在は郭内、木戸脇、内宿、二の廓などの地名が残るのみで、廓跡も眺望のよい公園として生まれ変わっています。
場所 勝浦市浜勝浦221
交通 JR勝浦駅から徒歩30分(駐車場30台)
徒歩30分
途中には白亜の勝浦灯台も望めます!
灯台は普段は非公開ですが毎年11月上旬に特別公開し、展望デッキからの絶景を楽しめます。
SPOT6
官軍塚
太平洋を見晴らす供養所
八幡岬公園の北東約2kmの高台にあり、絶景スポットとしても知られる場所です。戊辰戦争の末期、熊本藩が雇った米国汽船ハーマン号が函館五稜郭へ向かう途中、勝浦川津沖で暴風雨に遭い難破。住民は救助活動にあたりましたが、200名以上が犠牲に。その際の犠牲者をこの地に埋葬・供養しました。慰霊碑に向かう遊歩道は、初春には河津桜の名所でもあります。
場所 勝浦市川津1394
交通 JR勝浦駅から徒歩40分(駐車場30台)