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秋風が恋しい季節、6月号の「八幡岬」に続いて今回は「鵜原理想郷」へご一緒に!
まずは、鵜原海岸中央の白い鳥居からの出発ルートでご案内します。東の浜を歩き、小さな素掘りのトンネルを抜けると、そこは理想郷エリアとなります。
5分程の坂を上り「明神岬」に向かう小道をいくと鵜原湾や遙かミレーニアの町並みまで一望できる「黄昏(たそがれ)の丘」。その名の通り、黄昏時の絶景スポットです!
小道を引き返し、分岐点から「毛戸岬」へと。毛戸浦には地層が美しい「ひとつやま」があり、潮が引くと「青の洞門」が現れ、そこからの稀なる景色を見られた方は、まさに幸運!
歌人与謝野晶子は、ここに滞在し、雄大な岬と優しい入り江の美しさを詠み、六十七首にしています。
分岐点に戻り、尾根伝いを歩いて10分程で「手弱女平」(たおやめだいら)に到着。ここは、世界有数の別荘地開発を夢見た後藤杉久氏の夢の舞台。1923年(大正12年)4月、空前の大園遊会がここで開かれました。現役の大臣や実業家等、官民7百名余りを招き、新橋や赤坂から芸者衆五十名以上を集めての大歓待。しかしながら、その年の9月に発生した関東大震災により計画は断念され、理想郷という名称と自然が残りました。
漁港側からの(無料駐車場出発)ルートも魅力的。理想郷開発の舞台となった歴史ある鵜原館から急な坂道を登れば、手弱女平への最短コースです。
初秋の理想郷を彩る、ハマカンゾウやフジナデシコ、茶花として知られるタマアジサイに風情を感じながらのひととき。土器の出土から「縄文前期の遺跡」ともなった岬の不思議に思いを馳せ、秋風が吹いたら、あなたも岬めぐりしませんか。
そして、空いっぱいに「幸せの鐘」を響かせてください。
勝浦市長 照川 由美子